カメラメーカーを選ぶ基準は、撮りたい被写体によって変わってきます。
メーカー毎に特徴が違うので、それぞれの強みを知って、あなたが撮りたいポートレート撮影にマッチしたカメラメーカーを選んでいきましょう。
カメラの購入を検討する際の参考にしてみてください。
カメラメーカーの国内販売台数シェア
まずは、国内カメラメーカー(一眼レフとミラーレス一眼)の販売台数シェアの数値を見てみましょう。POSデータの集計でランキングを毎年発表している「BCN AWARD 2019(2018年分)」のデータが以下になります。
【一眼レフ部門】
1位:キヤノン(57.4%)
2位:ニコン(39.3%)
3位:リコーイメージング(3.1%)【ミラーレス一眼レフ部門】
1位:キヤノン(31.6%)
2位:オリンパス(23.5%)
3位:ソニー(22.7%)参考URL:https://www.bcnaward.jp/award/gallery/detail/contents_type=251
一眼レフカメラは、BCN AWARD 2018以前も不動の1位で、2019年も継続です。万人受けの良い王道のキヤノンです。
ミラーレス一眼レフ部門では、オリンパスが2016〜2018年の1位を維持していましたが、2019で一眼レフ王者キヤノンに1位を譲ってしまいました。ソニーも最近はα7シリーズが躍進を続けており、ミラーレスカメラとしては目を離せない存在感を出してきています。
ポートレート撮影に適したカメラの特徴
冒頭でも述べたように、一概にカメラと言っても様々な特徴があり、撮りたい被写体によって必要な機能や質も変わってきます。ポートレート撮影をしたいのか、風景写真を撮りたいのか、建物の写真を撮りたいのか、カメラを購入する上でとても根本的なことです。
今回は「ポートレート撮影をしたい」という目的があるので、そこにフォーカスして紹介していきます。
ポートレート撮影はフルサイズを選ぶ
早速ですがカメラには心臓部とも言える「センサーサイズ」というものがあります。単純な話、このセンサーサイズが大きい方が画質が良いです。
このセンサーサイズをざっくり分けると、APS-Cとフルサイズの2つがあります。サイズが大きいのがフルサイズの方です。ただ当然質が高い分、値段も高いです。初心者向けのカメラによく搭載されているのがAPS-Cになります。
結論を話すと、フルサイズの方がポートレート撮影向きです。APS-Cと比較しても、フルサイズの方が人物を撮影したときの肌の質感が優れています。またレンズによっても変わってきますが、被写体の背景をぼかすことにも秀でているためです。
被写体に動きがあるかどうかでカメラを選ぶ
ポートレート撮影でも、どんな場所で撮って、被写体はどんな人を撮るのかという目的でも選ぶカメラは変わってきます。よく動く子供や動物、スポーツシーンなどの写真を撮りたいのか、モデルさんにお願いしてポーズを決めて撮るのか、撮りたいシーンによって必要なカメラの機能が変わってくるのです。
動きのある人物を撮りたいのであれば、AF(オートフォーカス)の速さや正確さは重要視する必要があります。
それではいよいよカメラメーカー毎の特徴を比較していこうと思います。
カメラメーカー①キヤノンの特徴
キヤノンはカメラメーカーの中でも、世界シェアで1位をとるほどのブランド力です。カメラブランドとしてゆらぎない地位を確立しています。当然キヤノンを利用しているユーザー数も多いので、カメラの話をするにしても話が通じたり、カメラのことで不明点があれば、割と近場のカメラ仲間に聞けば解決してしまうなんてこともよくあります。
初心者からプロのカメラマンまで、技術のレベルに応じて使いやすいカメラ機器が出ているため、技術や年齢層関係なく使われているのも大きな特徴でしょう。
キヤノンの主な特徴は以下になります。
- 人物の肌などの色を綺麗に撮れる
- 知名度が高い
- AF(オートフォーカス)のスピードが早い
- 初心者からプロまで幅広い層が使用
いきなり本質的なところに入りますが、一般的に人物の色を綺麗に出せると言われているのがキヤノンになります。また明るく柔らかい感じが出るのもキヤノンの特徴です。これだけでもポートレート撮影にキヤノンを選ぶ理由にはなります。
一眼レフのトップに立つカメラメーカーなので、カメラレンズやカメラ周辺機器の種類が豊富というのも大きなメリットなのではないでしょうか。
他にはオートフォーカスが早いという利点があります。ですので、スポーツや野鳥の撮影に向いているのはもちろん、めちゃくちゃ早く動き回る子供を撮る際にも使えます。
カメラメーカー②ニコンの特徴
キヤノンに次いで世界シェア2位なのがニコンです。デジタル一眼レフにおける2大カメラメーカーの1つになります。報道カメラとしてもよく使われています。
ニコンの特徴は以下になります。
- カメラが頑丈で長く保つ
- AF(オートフォーカス)の精度が高い
- 風景に向いていると言われている
- コントラストが高い傾向
見たままの色を出すことが特徴のニコンなので、風景撮影に向いています。
コントラストが高めに写るので、陰影を活かした撮影をすることに向いています。格好いい男性のポートレート撮影の際は、より魅力的に撮れるでしょう。キヤノンが柔らかく明るい特徴に対して、ニコンは雰囲気を格好良く演出することに長けています。
ニコンもキヤノン同様レンズも豊富ですし、見た目的に「格好いいから」という入り口からカメラをスタートしたユーザーも多いようです。
ポートレートでコントラストをしっかり出して、格好いい写真を撮りたいのならニコンかもしれません。動画に関しては、正直期待できないクオリティとなっています。
カメラメーカー③ソニーの特徴
ソニーは自社センサー自社エンジンで、世界シェアも3位を誇る、こちらもトップクラスのカメラメーカーです。近年カメラ業界に新しい風を吹かせまくっていたのは、こちらのSONYです。
ソニーの技術が詰まった自慢のイメージセンサーを武器に、機能や画質で他社メーカーを圧倒してきたのは紛れもない事実です。
そんなソニーが出している、最近口コミでも売れ行きでも人気爆発中の”αシリーズ”はコニカミノルタから引き継いたシリーズというのは意外と知らない人も多いですね。
カメラ業界の台風の目でもあるソニーが作っているカメラだからこそ、信頼できる機能がありますし、将来性を期待できるメーカーだと言えるでしょう。
ソニーの特徴は以下になります。
- ボディに手ブレ補正機能
- フルサイズミラーレスのシェア率が高い
- 動画撮影としての機能も高い
- 顔・瞳AFの機能が高い
そもそもカメラボディに手ブレ補正機能が付いていることは今までなく、キヤノンの一眼レフカメラでさえ手ブレ補正機能はボディに付いていません。ソニーには付いていますし、今までのノウハウもありクオリティも高いものとなっています。
フルサイズミラーレスのシェア率はトップクラスであり、ソニーもとても力を入れている分野でもあります。自社センサーということも大きな特徴で、かつてオリンパスの社長が、ソニーのセンサー技術は世界一と言わしめたほどです。ニコンやPENTAX(リコーイメージング)をはじめとした多くのイメージセンサーをソニーが生産していることから、他社カメラが売れてもソニーは儲かるという立ち位置も築いています。
この立ち位置が、実は最初のカメラ選びでもとても重要なところになるんです。各カメラメーカーで販売されているレンズは自社のカメラボディにしか使うことができません。特別なマウントを使えば話は別ですが、当然リスクはあります。
例えば急に、「ニコンが倒産しました」「キヤノンがカメラの生産をストップします」となったらどうでしょう。今まで高いお金をかけて購入してきたカメラのレンズは、既に持っているボディでしか使用できないため、今後クオリティの高いレンズを使うことができなくなってしまいます。つまりカメラメーカーがしっかり業界に残り続けられるかという点は、これから購入するカメラの寿命を左右するほどのことなのです。実際問題、ニコンは過去に業績不振があり倒産の危機もありました。
ですので、カメラメーカーの将来性も、頭の片隅では気にするようにした方が良いでしょう。
レンズの種類はキヤノンやニコンには劣ってしまいますが、力の入れ具合や、今の勢いを加味すると、今後伸びていくことは間違いないでしょう。
動画に関しては、テレビの撮影でも使われるほどのクオリティを持ち合わせています。赤坂の方の某TV局の方もよく購入されるとか(店員談)。
最近でこそどのメーカーも多くなってきた「顔・瞳AF機能」ですが、ポートレート撮影において、瞳にしっかりピントが合っているのは写真の印象を左右するほど重要なことです。
元々は瞳AFを最初に搭載したのはオリンパスでした。ただ火付け役となったのは、ソニーが2013年に販売したα7シリーズ初代の瞳AFがキッカケでした。
瞳にピントが合っていない写真はとても不自然で違和感のある写真となります。さらに手前の瞳にピントが合っていることでより自然な印象に近づけます。そこらへんの部分は、ソニーはしっかり網羅しており他メーカーより機能性も高い評価を受けています。
もっとソニーについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。
カメラメーカー④オリンパスの特徴
オリンパスはミラーレスカメラ市場を長年牽引してきたメーカーであり、国内ミラーレス市場では2017年までトップのシェア率を誇っていました。ただ冒頭でも紹介したとおり、とうとう2019年のBCN AWARD(2018年分データ)でトップシェアをキヤノンに奪われました。さらにすぐ後方には、今最も勢いのあるソニーが虎視眈々とその地位を狙っています。
今後の動向がとても気になるオリンパスです。
オリンパスの特徴は以下になります。
- デザインが女性ウケするものが多い
- マイクロフォーサーズセンサーを採用
- 機能性が高く、かつコンパクト
近年では、宮崎あおいを広告塔としたオリンパス・ペンはカメラ女子の中でも話題になりましたし、デザイン部分でも大きな注目浴びました。
オリンパスではマイクロフォーサーズというセンサーを採用しています。センサーサイズとしては、フルサイズ、APS-C、に次いで1番小さいサイズになります。一般的にはセンサーサイズは大きい方が画質が良いと言われていますが、当然マイクロフォーサーズにも利点があり、コンパクトにすることが可能という点です。超望遠レンズを使い時も、小さいレンズで住むというメリットもあります。
オリンパスの特徴として上記で挙げた点は、総合すると、デザインが女性向けでコンパクトのため、女性やカメラに興味を持ちはじめた初心者にとって、とても使いやすいメーカーだと言えます。
まとめ
平均的に見てみると、メーカーはキヤノンを選んでおくのが1番無難と言えそうですね。ただ今後の将来性や現在躍進している部分でみるとソニーも捨てがたいです。
格好いいポートレートを撮りたいのならニコンもいいでしょう。これからカメラを勉強してみようと考えている初心者向けとしてはオリンパスも良いかもしれません。
このように自分がカメラを使う用途として、様々な目的を総合して、購入するカメラを選ぶのがベストな選択になるでしょう。