NDフィルターってよく聞くけど、実際の所どういう効果で、どうやって使うのか理解できていない方は多いと思います。
実はNDフィルターが使えるようになると、滝の水流を滑らかに映し出したり、夜景で自動車の綺麗な光線を撮れたりと、プロカメラマンがよく撮るような難しい写真も撮ることができるようになります。
今回はNDフィルターの使い方手順をわかりやすく紹介していきますので、撮影技術向上のために参考にしてもらえればと思います。
NDフィルターとは
NDフィルターのNDは”Neutral Density”の略で、直訳すると「中立な濃度のフィルター」や「無彩色/濃度」という意味になります。
NDフィルターは丸いガラス板のようなものでできていて、カメラのレンズに付けて使用します。
発色に影響を与えることなく光量だけを少なくしてくれる効果を持つフィルターです。わかりやすく言うと、レンズに入ってくる光の量を減らしてくれるフィルターということです。日常的なところで言うとサングラスに近いです。
ちなみにNDフィルターの商品名には、NDの後に数字が入っています。
この数字は減光してくれる度合いを意味します。わかりやすく言うと、この数字が大きくなるにつれて光を通しにくくなります。例えば「ND8」という商品名であれば、「光量を8分の1に減らします」という意味を持ちます。数字は全て「(数字)分の1」という意味になるということです。
ND1000などもあるので、この場合は「光量を1000分の1まで減らします」という意味になるのです。
NDフィルターの効果
NDフィルターを使用することで得られる効果は様々です。光を抑えてくれるので一眼レフカメラだけでは実現できなかった光と時間の表現を可能にしてくれます。
NDフィルターを使用することで得られる効果は以下のようになります。
- 夜景の光跡を綺麗に撮れる
- 雲の動きをダイナミックに撮れる
- 水面を滑らかに撮る
- ポートレート撮影で被写体を目立たせる
プロが撮った「街中での夜景写真」で見られるような、車の光跡が線となって流れるように表現されている写真が撮れるようになります。街中で夜景写真を撮る方には必須アイテムと言えます。
また雲の動きをダイナミックに表現することも可能になります。スローシャッターにして撮影すれば雲が流れていくような写真を撮ることもできます。
日中は光が強く、明るくなり過ぎてしまいますが、そこをNDフィルターを使用することで、白飛び防止効果を得ることができます。
風景写真を撮っていると水辺や水面を撮る機会もあると思います。その際に風が少しでもなびいていると水面がさざ波だってしまい、綺麗な写真を撮ることができません。
NDフィルターを装着してシャッタースピードが遅くなることで、水面が平坦に写りスッキリとして綺麗な水面の撮影が可能となります。
ポートレート撮影では被写体を目立たせた写真を撮ることができます。街中で1人(被写体)立ち止まって、周りの通行人は動き続けるため、目立たせたいメインの被写体だけ時間が止まっているようなシャープな人物写真を撮ることができます。
これは街中での建物撮影にも使えます。建物が被写体の場合は、その周りを行き交う人が動くので、人の流れがスピーディーに伝わるので、より被写体の建物が際立ちます。
逆に人を写さない写真も撮ることができます。観光地や人がいる場所での撮影では、どうしても画角に人が写り込んでしまう事があると思います。そのたびにイラッとしてしまった経験はありませんか。
NDフィルターがあれば、カメラを固定して人が少なくなったタイミングを見計らえば、人が写っていない写真を撮ることも可能です。ただ人が少ないという条件は必須ですが。
上記で説明したそれぞれの効果は、シャッタースピードや環境条件などで調整は必要です。そこは実際に撮ってみて感覚を養うことが大事になってくるでしょう。雲の動きと人の動きのスピードは全然違ってきますので、それだけでも設定方法はだいぶ変わってきますね。
NDフィルターの使い方手順
基本的にNDフィルターを使う際は、三脚を使用しましょう。シャッターを押す際にブレないよう、リモート操作やタイマー設定ができると尚良いですね。使い方手順としては以下のとおりです。
- 一眼レフカメラを三脚にセット
- カメラの設定(リモートやタイマー、ISO感度など)
- AFでピント調整後、マニュアルに切り替える
- NDフィルターの取り付け
- 撮影
1.まずは一眼レフカメラを安定している場所で三脚にセットしましょう。手持ちはNGです。ほぼ確実にブレます。
2.次にカメラの設定をしましょう。ISO感度は100や200などの一番低い数値が良いでしょう。ホワイトバランスは状況に合わせてオート以外で設定しましょう。
3.NDフィルターの数字が高く濃度が高いものは、暗い場所でピントを合わせにくくなります。必ずAF(オートフォーカス)でピントを合わせた後、カメラの構図や位置をずらさずにマニュアルに切り替えましょう。
4.ここでようやくNDフィルターの登場です。
装着方法は簡単で、レンズの先に取り付けて使用します。ちなみにNDフィルターは重ね付けが可能です。重ね付けをする際も、取り付け方はレンズの先に重ねて付けていくだけです。
重ね付けするとどうなるかと言うと、NDの数字を掛け算した数字の光量減少になります。例えば、ND8とND2を掛け合わせた場合、8×2でND16となり「光量を16分の1に減らす」ことになります。
5.あとは撮影をしながら絞りやシャッター速度などを微調整していきましょう。
NDフィルターの使い方手順は以上となります。カメラ初心者でも割と簡単にできてしまうと思います。あとは微調整を日常的に経験して経験値を重ねていくのみになります。
まとめ
ここまで説明してきたNDフィルターの効果ですが、NDフィルターが無くても出来なくはないです。ただカメラ初心者の方が使うことで、比較的効果を反映しやすくなります。
カメラには、レンズはもちろん、三脚やレンズフード、ストロボなどの撮影の質を高めるアクセサリーが多様にあります。そういった道具の一つ一つの仕組みや効果を知ることで、今後より撮影技術を挙げることにも繋がっています。
まずはNDフィルターを使って、多種多様な効果を試してみてどんな写真に仕上がるのかを知っていきましょう。価格も数千円から数万円のものまで幅広いラインナップです。購入の際にも参考にしてもらえれば幸いです。